旅に出たライダーが遭遇する問題の1つに「駐車場問題」があります。バイクは自動車と比較して、駐車できる専用のスペースが少なく、探すのが大変ですからね。
そのため、多くのライダーは自動車と同じ駐車場に停める方が多いです。
そこで気になるのが「バイクも駐車場に置いても問題はないのか」ということ。気になりませんか?
自動車と比較して車格も小さいので「自動車の邪魔になっているのでは?」と心配になる方も多いですよね。
ここでは、駐車場にバイクを置いても問題はないのかどうか、法律と照らし合わせながら解説します。さらに、バイク専用の駐車場の種類や、駐車場の探し方などもご紹介します。
バイクは駐車場を利用しても大丈夫? バイク駐車場の種類や探し方についても解説します
バイクは駐車場に停めても大丈夫なの?
実は51cc以上のバイクは、「自動車」として区分されます。そのため、駐車場に停めても問題はありません。
以下、詳しく解説していきます!
51cc以上のバイクは「自動車」なので「駐車場」に停めてもOK
51cc以上の排気量がある二輪車は、道路交通法にて「自動車」として区分されます。
道路交通法第九条
九 自動車 原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、原動機付自転車、自転車及び身体障害者用の車いす並びに歩行補助車その他の小型の車で政令で定めるもの(以下「歩行補助車等」という。)以外のものをいう。
ここで、「原動機付自転車(中略)以外のものをいう」と記載されていますよね。
原動機付自転車は、以下のように定義されています。
道路交通法第十条
十 原動機付自転車 内閣府令で定める大きさ以下の総排気量又は定格出力を有する原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等以外のものをいう。
道路交通法施行規則 第一条の二
(原動機付自転車の総排気量等の大きさ)
第一条の二 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号。以下「法」という。)第二条第一項第十号の内閣府令で定める大きさは、二輪のもの及び内閣総理大臣が指定する三輪以上のものにあつては、総排気量については〇・〇五〇リツトル、定格出力については〇・六〇キロワツトとし、その他のものにあつては、総排気量については〇・〇二〇リツトル、定格出力については〇・二五キロワツトとする。
これより、50cc以下は原動機付自転車となり、51cc以上のものは「自動車」に該当する、と言えます。
「自動車」に区分されるのですから、自動車を停めるための場所である駐車場に停めたとしても、なんら問題はないのです。
50cc以下の原付は駐輪場へ
一方、50cc以下の原付はどこに停めるのが正しいのでしょうか?
答えは、「駐輪場」です。それは「駐車場法」によって定められています。
自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(中略)
二 自転車等 自転車又は原動機付自転車(道路交通法第二条第一項第十号に規定する原動機付自転車をいう。)をいう。
三 自転車等駐車場 一定の区画を限つて設置される自転車等の駐車のための施設をいう。
自転車等駐車場は、言い換えれば「駐輪場」です。
そのため原動機付自転車は、法律的には駐輪場に停めるのが正しいのです。
トラブルを避けるためにも、駐車場の管理に従おう
まとめると、50ccの原動機付自転車は駐輪場に、51cc以上のバイクは駐車場に停めるのが、正しい駐車方法です。
しかし駐車場によっては、51cc以上のバイクを駐車場に停めようとしたとき、警備員から「駐輪場へ停めてください」と指示されることもあります。その場合、指示どおりに駐輪場へ移動させるのが無難です。
その他にも、看板などで「バイクはここに停めてください」と指示されていることもありますから、その場合も従いましょう。無理に自動車と同じ区画にバイクを停車させれば、トラブルとなることもあります。
もしも「バイクの出し入れが大変だから、狭い駐輪場に停めたくない!」などの理由があれば、警備員の方に相談してみるのをおすすめします。停めやすい場所へと誘導してくれることもありますよ。
バイクの駐車場にはいろいろな種類がある
バイクを停めることができる駐車場には、主に以下のような種類があります。
外出時の駐車場
バイク専用駐車場
駐車方法 | 決められた区画・スペースに駐車 |
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料金 | 1回ごと・時間ごと・無料、などさまざま |
バイクだけが停められる、専用の駐車場です。SAやPAに多く整備されています。
自動車や自転車としっかり区分分けされていますので、自動車とトラブルになりにくい、といったメリットがあります。
しかし、バイク専用の駐車場が整備されている場所は、少ないのが現状です。
バイク専用のライン型駐車場
駐車方法 | 規定されたロック方式で駐車 |
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料金 | 1時間100円〜 が多い |
規定の位置にバイクを停めてロックさせる方式や、前輪にチェーンを巻く方式などがあります。駅の近くや大型施設の駐車場などで整備されていることが多いです。時間単位または分単位ごとに料金が設定されています。
ロックがかかっていますから、盗難の心配がありません。
ただし車種によっては、やや利用しにくかったり(タイヤロックがタイヤサイズと合っていないなど)、隅の方に停めると出し入れが大変な場合などがあります。
バイク専用のパーキングメーター
駐車方法 | 専用機械に料金を投入し、指定の枠内に駐車 |
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料金 | 相場で100円〜500円(時間制限あり) |
都心部の道路でよくみかけるパーキングメーターですが、実はバイクも利用することができます。
料金が比較的安くて利用しやすいので、ちょっとした時間に停めたいときには便利です。
しかし混雑している時間帯では、ほとんど埋まっていることもあります。
保管用の駐車場
バイクガレージなどの月極駐車場
設備場所 | マンションやアパートの地下など |
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月額料金 | 相場 10000円〜15000円 |
バイクだけが停められる専用の月極駐車場です。都心部のマンションやアパートなどで整備されていることが多いです。
屋内のバイクガレージなら、防犯カメラがついているなど、セキュリティ面で安心です。
ですが、利用するには月額料金がかかります。とくに都心部に近い場所ほど、月額料金が高くなる傾向があります。
レンタルコンテナ型
設備場所 | 道路脇などさまざま |
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月額料金 | 相場 5,000円〜15,000円 |
コンテナを借りることによって、そこにバイクを保管することができます。
外からバイクを見られる心配がなく、さらに雨風からしっかりと守ってくれるのが魅力的です。
しかしレンタルする場所によっては、自宅から遠くなる可能性があります。
バイクの駐車場を探す方法
バイクの駐車場は、自動車と比較して少ないのが現状です。とくにコインパーキングでは、自動車専用のものが多いです。駐車できるスペースが見つからないと、とても不便ですよね。
そこで、バイク用の駐車場を簡単に見つける方法をご紹介します!
バイク駐車場を探せる専用HPを活用
全国バイク駐車場案内
一般社団法人 日本二輪車普及安全協会が提供している、バイクが停められる駐車場を検索できるサイトです。
駐車台数・利用可能時間・料金といった詳しい情報まで見ることができるので、とっても便利!
バイクで旅行する前には、事前にチェックしておきたいサイトです。
LIFULLトランクルーム
バイク収納・駐車場[バイクコンテナ・月極バイク駐車場]の検索【HOME’S】
こちらのサイトは、バイクを保管するための月極バイク駐車場やコンテナを探すことができます。こちらもぜひ活用してみてください。
アプリを活用
バイク専用の駐車場を検索するためのアプリがあります。ほとんど無料で利用できますから、ぜひ活用してみてください!
バイク駐車場&ツーリングスポット検索
このアプリでは、バイクの駐車場が検索できる他にも、道の駅などのツーリングスポットまで検索できます!さらにGoogle mapと連携しているため、ナビまでこなしてくれるスグレモノ。
さらに月額会員(月150円)に登録すれば、より詳細に駐車場やツーリングスポットの検索できる、google ストリートビューなどの機能が使えるようになるので、便利ですよ。
自転車・バイク駐輪場 情報共有MAPくん
このアプリでも、上記のアプリと同様、バイクや原付の駐輪場を検索してくれるアプリです。
こちらの特徵は、自分で駐輪場の場所を保存することができる点です。
よく利用する駐車場を登録しておけば、すぐに場所を確認できるので、とても便利。自分だけのオリジナル駐車場マップが作れますよ。
近年では二輪用の駐車規制緩和の動きが活発化!
専用駐車場が少なく、駐車に苦労するバイク。とくに都心部では、バイクの駐車場不足が加速しています。
さらに2006年に駐車違反の取締りが強化されてから、バイクの駐車違反件数が急増。ライダーは駐車に関して、ますます肩身の狭い思いを強いられているのが現状なのです…。
しかし近年では、「バイクの駐車場をもっと整備しましょう!」との動きが活発化しています。
東京都知事の小池百合子氏は2017年に、「バイクの駐車場整備をもっと加速度的にすすめたい」との発言をしました。このニュースにより、バイクの駐車場問題が改めて注目されたのではないでしょうか。
しかし日本は、諸外国と比較しても敷地が狭いことや、自転車などの駐車場が優先されている影響もあり、なかなか整備が進んでいません。
バイクの4大メーカーが存在する国なのに、駐車場整備が進んでいないことが一因で衰退していくのは、悲しいことですよね。二輪用の駐輪場整備が、少しでも進むことを願うばかりです。
まとめ
バイクは法律的に「自動車」の区分に該当します(原付は除く)ので、自動車と同じ駐車場に停めても、法的に問題はありません。しかし、駐車場によってはバイク専用の駐車場が整備されていたり、駐輪場へ停めるように誘導されることもあります。その場合は、指示に従った駐車を心がけましょう。
また、ツーリングのときに「駐車できる場所が見つからない!」と困ったら、駐車場を探せるHPやアプリを活用しましょう。アプリならすぐに検索できるので、旅先に便利ですよ。無料で利用できるので、ぜひインストールしておくと良いでしょう。
バイクの駐車場問題は、近年になって注目を集めつつあります。駐車場整備が一気に加速することはなかなか難しいでしょうが…、だんだんと整備されていくと良いですよね。
参考
- 道路交通法 e-Gov法令検索
- 道路運送車両法 e-Gov法令検索
- 道路交通法施行規則 e-Gov法令検索
- 駐車場法 e-Gov法令検索
- 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律 e-Gov法令検索